スイート・プロポーズ

そういう部分に、倉本曰く、多くの部下が惚れるのだろう。


「自慢にもならないが、泣かせた女子社員は両手じゃ足りない」


そこには恐らく、他部署の女子社員も含まれていることだろう。

夏目部長は遠巻きに見ているのがいい、という意見を聞いたことがある。


「別に、好きで泣かせてたわけじゃないんだが・・・・・・、小宮は泣かなかったな」

「・・・・・・」


意地っ張りだったから、とは言えない。

円花は視線を泳がせる。


「それが、お前を気にしだしたきっかけだ」

「・・・・・・泣かなかったことが、ですか?」


夏目が頷き、円花は複雑な気持ちになる。


「今にも泣きそうな顔で、やり直した書類を提出するだろう? 負けず嫌いなんだろうな、と思った」


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