スイート・プロポーズ

あの静かな雰囲気は、嫌いじゃない。

ドキドキしたりはしないが、居心地が悪いわけでもないし、沈黙も苦にならない。


けれど、それは“上司と部下”という名目があるからかもしれない。

その名目を取っ払って、いざふたりきり、となると、沈黙に困る。

沖縄出張の時のように。


(正反対ね、まったく)


円花は、雨が降り続ける窓の外を見つめ、ふぅ、と小さくため息をついた。





―――・・・・・・。

数日後、CMは無事に放送された。

円花もテレビで何度か件のCMを目にし、その出来栄えに満足していた。


「あれ、倉本さんは?」

「印刷所に殴り込みに行きました」


梨乃の言葉は、あながち冗談ではなくて、円花は苦笑してしまう。


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