スイート・プロポーズ
美琴もカップを空にし、ふたりは席を立つ。
「いい天気ね」
春の陽気は眠気を誘う。
立ち止まり、円花は空を見上げて、目を細める。
「明日は雨らしいわよ」
「え、そうなの?」
先を行く美琴を、円花は慌てて追いかけた。
―――・・・・・・。
「小宮さん。今夜新入社員の歓迎会やるんだけど、来れる?」
美琴の情報通り、倉本が飲み会に誘ってきた。
「大丈夫。ちゃんと参加します」
「さすがは残業知らず」
倉本は楽しげに笑って、他の同僚に声をかけに行く。
(残業知らずって、あだ名なのかしら?)
滅多なことじゃ残業をしない円花は、何故か“残業知らず”と呼ばれている。
きちんと仕事を終わらせて退社するので、不名誉な呼び名ではないと分かってはいるのだが。