スイート・プロポーズ

(私のとこに置いとこ)


自分のデスクへ戻り、ファイルは引き出しへ仕舞う。


「部長、手伝いますか?」

「いや、もう終わる」


睨むような目で、夏目はパソコンの画面を見つめている。


(雨、弱くならないわね)


仕事が終わる頃には、多少雨足も弱まるかもしれない、と期待していたのだが。


「・・・・・・はぁ」


雨は嫌いじゃないが、何事にも限度というものはある。

円花はバッグに携帯や手帳を仕舞いながら、ため息を漏らす。


「ふぅ」


夏目も仕事を終えたらしく、小さく息を吐くと、デスクから立ち上がった。

ジャケットを羽織り、窓の外へ視線を向ける。


「小宮、帰るぞ」

「え?」


有無も言わさぬ口調の夏目は、確かな足取りで歩き出す。


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