スイート・プロポーズ

円花は慌てて、夏目の後を追いかけた。





―――・・・・・・。

「すみません、送っていただいて」


半ば無理矢理、円花は夏目の車に押し込まれた。

まぁ、有り難いことではあるし、気遣いとして受け取ろうと、と思うことにした。


「濡れて風邪でも引かれたら困るからな」


車内には、静かな音楽が流れているが、如何せん雨の音が強すぎる。

よく聞こえない。


「もうすぐ、誕生日だな」

「私、ですか? そうですね」


円花の誕生日は7月7日―――七夕だ。

その日を迎えれば、26歳になる。


「七夕と言えば、織り姫と彦星だな」

「一年に一度しか会えないんですよね」


円花からすると、七夕よりも誕生日、という印象の方が強い日ではある。


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