スイート・プロポーズ
「あぁ、うん・・・・・・」
ハッキリと答えない薫を見上げ、美琴はため息をつく。
「肩、痛い」
「あ、ごめん」
薫は慌てて肩から手を離し、視線を泳がせる。
「用がないなら、帰るわ。明日も仕事だし」
「美琴・・・・・・」
自分でも、何となくわかってる。
美琴が歩み寄れば、多分、関係は徐々に修復されるということを。
けど、美琴には無理だ。
他人から冷たいとか言われても、譲歩なんてできない。
「・・・・・・留学してた頃、何度も美琴にメールしよう、電話しよう、って思った」
歩きだそうとした美琴は、薫の声で足を止めた。
「けど、メールしたら愚痴ばっか書きそうだし、電話したら会いたくなる気がして・・・・・・」