スイート・プロポーズ

「あんた、何言ってんの?」


美琴は力強く振り返り、薫を睨みつけた。


「愚痴ぐらい聞いてやったわよ! 外国にいるんだから、ストレスだって溜まるでしょ!」

「み、美琴・・・・・・」

「会いたいって言うなら会いに行ってやったわよ!」


怒鳴ったせいで、顔が熱い。

美琴は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。


「けど、美琴に会ったら・・・・・・逃げたくなる気がしたんだ」


夢を諦め、日本に帰りたくなる。

そんな気がして、連絡できなかった。

と、薫は言う。


「あんた、ホントに馬鹿ね!」

「―――!!」


このまま殴り掛かってくるんじゃないか。

それくらいの剣幕で、また怒鳴られた。


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