スイート・プロポーズ
「私が、弱音を吐いたあんたを優しく慰めると思ってるの? 帰りたいって言うあんたに、素直にいい、って言うと思ったの?」
瞬きも忘れて、美琴は薫を真っ直ぐ睨みつける。
「自分の夢のために留学したんでしょ? なら、弱音吐くあんたの背中蹴ってやったわよ! 絶対に、帰って来させたりしなかった!!」
通り過ぎる人が、ふたりを不思議そうに見ていたけど、気にならなかった。
「美琴・・・・・・」
「あんた、馬鹿よ。・・・・・・大馬鹿よ」
美琴はぽつりと呟き、再び歩きだした。
あんたの気持ちを私は知らない。
けど、あんただって、私の気持ちを知らない。
私がどれだけ悲しかったか、知ってる?
私がどれだけ寂しかったか、知ってる?