スイート・プロポーズ

円花が苦笑すると、夏目は目を細めて笑う。


「皿洗いは、私がします」

「……お願いしようかな」


やっぱり、何もしないでいるのは嫌だから。

円花は内心ホッとしながら、炒飯を食べ進めた。





窓の外が、赤く染まり出した。

本から視線を上げ、時計を探す。


(もう18時過ぎ……気づかなかった)


恋人の部屋に来ているのに、お互い読書に夢中になって会話もほとんど無かった。

これで良いのかとも思うが、無理して話題を探すよりも余程、居心地が良い。


「……」


チラリと目の前のソファーに座る夏目を見てみる。

彼も彼で、本に夢中らしい。

こっちをちっとも見ない。


(……絵になる)


黒いソファー、サマーニットを着てハードカバーの本を読む夏目。

< 196 / 294 >

この作品をシェア

pagetop