スイート・プロポーズ

残された円花は、しばし考え込む。


(怒ってはいないみたい)


呆れている風でもなかった。

寝室の扉の前で立ち尽くし、次の行動を考える。

動くべきか、待つべきか。

円花が迷っている中、キッチンからはカレーの良い香りが。


「晩ご飯にしようか」

「……」


リビングに戻ってきた夏目は、出来立てのカレーをテーブルに並べる。


「座らないの?」

「その……今、少し反省中でして」


多少なりとも、責められた方がマシだということに気づいた。

何事もなかったかのように振る舞われると、いたたまれない。


「それは、寝ちゃったことが原因なのか?」

「……はい」


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