スイート・プロポーズ

強気に言ってみたが、スプーンが全く動かない。


「何か緩和するもの……あ、チーズとか?」

「卵もいいと思います」


正直、お腹は空いてるし、わざわざ作ってもらったものを残すのは、申し訳ない。

何とか工夫して、この一皿を食べてしまわなくては。


「卵と言うと、生?」


二人でキッチンに向かい、夏目が冷蔵庫を開ける。


「黄身だけ入れるとまろやかになるそうですが、生は抵抗あるので……」


昔から、生卵は好きじゃない。

半熟は嫌いじゃないが、火が通っていないという事実が、どうにも受け入れがたい。

刺身なんかは平気なくせに。


「なら、ゆで卵だな」

「あ、私やります!」


夏目が取り出した卵を、半ば奪うように受けとる。


「鍋は……」


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