スイート・プロポーズ

「はい」

「ありがとうございます。お酢は、ありますか?」

「お酢?」


不思議そうな顔で、夏目は小さいビンのお酢を取り出す。


「何するんだ?」

「ポーチドエッグにしようかと、折角なので」

「へぇ」


興味津々に、円花の手元を眺める夏目が、少し可愛い。


「――食べ終わったら、送っていくよ」

「……はい」


何とも言えない寂しさを感じながら、円花は鍋を見つめる。

今日は、時間が過ぎるのが早いような気がした。





―――……。


月曜日、空は快晴。

夏の空はどこまでも青く、日中は存在を主張する太陽のお陰で、ついつい日陰を選びながら行動してしまう。


「今日も暑いわねぇ」


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