スイート・プロポーズ
波奈の声は、聞こえている。
聞こえているのだが、頭がちょっと混乱気味。


「海外、転勤……?」

「は、はい。アメリカの支社への転勤話が出てるらしいです」


期間は不明。
だが、確実に言えることがあるらしい。転勤から戻って来た夏目は、間違いなく出世コースを辿るだろう、ということ。


「私、そんな話知らない」

「私もつい最近知ったんです。新嶋さんが教えてくれたんですけど」


真偽の程は定かではない。
だが、ありえない話ではない。火のない所に煙はたたない、と言うし。


「でも、本当だとしたら残念ですよね。部長と会えなくなっちゃいますし」

「そう、ね」


本当だとしたら、ふたりの関係は?
終わるの?


「小宮さん? 大丈夫ですか?」

「大丈夫。……ちょっと、驚いただけ」


どうしよう。
もし海外転勤が本当だとしたら、この気持ちはどうすれないいのだろう?
好きだと自覚してしまったのに。面倒だと思っていた恋に、落ちてしまったのに。

幸福上限説。半分本気で、半分冗談。
心が落ち着かない。
さっきまで美味しかったマンゴーパフェが、急に味気なくなってしまった。

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