スイート・プロポーズ
こんな自分を、見せるべきじゃない。
だから、嘘をついた。本当は、眠気なんてまったくないのに。
『部屋の明かりがついているようだが……少し、会えないか?』
「ーーーー!」
夏目の一言で、円花は素早くカーテンを開けた。見下ろした先には、見覚えのある車と、よく知る人物がいる。
『会えるか?』
「…………はい」
ここで断れば、それこそ嘘だと言っているようなものだ。
円花が電話を切るよりも早く、夏目はマンションへ向かって歩き出す。
「どうして急に……」
電話を切り、円花は夏目が来た理由を考える。
だが恋人の元へ来るのに、理由なんていらない。
それを理解しつつも、やはり何か理由があるように感じてしまう。
ーーピーンポーン……。
夏目の到着を知り、円花は玄関へと向かう。
結局、理由は本人に聞くしかないのだ。鍵を開ければ、仕事帰りなのだろう。スーツ姿の夏目が、心配そうな表情を浮かべていた。
「あの……中へどうぞ」
立ち話もなんだし、と中へ招き入れる。夏目は何を言うでもなく、円花の後に続く。
「何か、飲みます?」
「いや、いい」
と言われたが、少しでも気まずさを避けたくて、円花はキッチンへ向かう。インスタントのコーヒーを準備しながら、夏目の表情が明るくない理由を考える。何かあったのだろうか?
「どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
マグカップを受け取ったが、夏目は飲む気配がない。円花も飲むつもりはなかったので、お互いのマグカップは放置されたまま。
だから、嘘をついた。本当は、眠気なんてまったくないのに。
『部屋の明かりがついているようだが……少し、会えないか?』
「ーーーー!」
夏目の一言で、円花は素早くカーテンを開けた。見下ろした先には、見覚えのある車と、よく知る人物がいる。
『会えるか?』
「…………はい」
ここで断れば、それこそ嘘だと言っているようなものだ。
円花が電話を切るよりも早く、夏目はマンションへ向かって歩き出す。
「どうして急に……」
電話を切り、円花は夏目が来た理由を考える。
だが恋人の元へ来るのに、理由なんていらない。
それを理解しつつも、やはり何か理由があるように感じてしまう。
ーーピーンポーン……。
夏目の到着を知り、円花は玄関へと向かう。
結局、理由は本人に聞くしかないのだ。鍵を開ければ、仕事帰りなのだろう。スーツ姿の夏目が、心配そうな表情を浮かべていた。
「あの……中へどうぞ」
立ち話もなんだし、と中へ招き入れる。夏目は何を言うでもなく、円花の後に続く。
「何か、飲みます?」
「いや、いい」
と言われたが、少しでも気まずさを避けたくて、円花はキッチンへ向かう。インスタントのコーヒーを準備しながら、夏目の表情が明るくない理由を考える。何かあったのだろうか?
「どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
マグカップを受け取ったが、夏目は飲む気配がない。円花も飲むつもりはなかったので、お互いのマグカップは放置されたまま。