スイート・プロポーズ
円花は紅茶を飲み、黙って耳を傾ける。
「今日の結婚式で、そいつと再会したの」
「殴った?」
「ううん。殴ってやる、って決めてたんだけどね」
美琴は寝返りを打ち、苦笑する。
「あいつ、笑顔でコレ渡してきやがった」
「不二 薫・・・・・・この人、有名な美容師だよね?」
渡された名刺には、雑誌か何かで見たことがある名前が。
名前で勝手に女性だと思っていたから、よく覚えている。
「殴る気力も失せた。あいつにとっては、その程度のことだったんだと思うとね」
互いの温度差に、根に持っていた自分が馬鹿らしくなった。
「美琴?」
起き上がった美琴は、名刺を睨むように見つめると、ビリビリと乱暴に破りはじめた。