小さな光 ~月と太陽~
あたしはあの時はまだ藤を好きになる前だった。


それにあの時は藤にとってーも

ムカついたんだもん。



「けどアズには両親がいないことを知られたくなかったな…」


「どうして?」


「アズはその事を聞いたら“絶対”泣くから。
泣かれたくなかったし…それに俺を見て欲しかったからな」


「………あたしは、藤を見ているよ。

過去に何があったって…


そんなの関係ない。


あたしは藤が…“如月 藤”が好きなんだから」



家族を知らないんならあたしが教える。

藤があたしを必要とするなら藤の為になる。



「なーに、泣きそうになっているんだよ」


「だってぇ~…」



藤の本当の過去を知った。


あたしが思っているより深い闇だったのに…

それに気付けなかったあたしが

イヤだ。


……………情けない。








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