小さな光 ~月と太陽~
『風邪』


それって…


「具合悪かったの?」


「大したことねぇし」



あたしから顔を背けている藤の顔は少しだけ

赤い。


こんな藤は初めて。


だけど今は…


「ねえ、いつから具合悪かったの?」


「だーかーら、大したことないって言っているだろ?」



『大したことない』と言われたってお墓参りの次の日と言うだけで
あたしには不安材料の一つでもあった。


「藤のバカッ!
あたしなんか、ずっとずっと気になっていたんだから…



あたしが頼りないのは分かるけど…少し頼ってよ。


彼女、なんだか」



最初は強気な声だったが…後半は藤に聞こえているか分からないくらい小さな声になってしまった。


「アズに言わなかったのは、風邪をうつさせたくなかったから。
夏風邪は簡単には治らないから…



………俺が困る」








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