小さな光 ~月と太陽~
学習能力無いなって…


しょうがないじゃん、声に出ちゃったんだもん。



「ったく、そんなくだらない事考えているヒマがあったら食え!
冷めるだろ」



あれっ?


それ以上怒らないの。



「アズ、何か言いたそうじゃん」



新聞をパタッとたたみあたしをじっくり見てくる。



「別に何もありませんけど」


「ふぅ〜ん」



ほっ…よかった



「怒られなくて」


「ぷっ…
お前、声に出ているし」




あっ…

急いで口元を押さえたけど



「ほんっとーに学習能力無いな。

今日はそんなんじゃ怒らねぇし」


「何ですか?」


「一応、病人だからなっ」



『病人だからな』


そっか…

さっきから優しいのはあたしが“病人”だから、か…


別にもう具合悪くなんてないし。



けど、

如月さんと沢山話せたからいいか。


それに如月さんの笑った顔も見れたし、

名前も呼んでくれた。

それだけでなんだか今はいい。




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