水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 



南緒の友達?



有政の彼女である、南緒の友達と言えば
思い浮かぶのはショートヘアの悠美(ゆみ)か?


悠美っと言えば確か今、
浩太が付き合ってなかったか?



一気に緊迫感が高まる。





「どこの病院?
 オレも行くから」




上着を掴んで、優の自宅で借りてる
一室から飛び出す。



「神前大学付属病院」

「わかった。
 少し時間かかる。

 浩太と南緒は?」

「南緒は……
 もう俺の隣で泣き崩れてる。

 浩太は処置室の入り口で
 握り拳作って、床を睨んでるかな」



早々に話を終えると、
そのまま氷見家の日本家屋から
歩いてエスカルゴへと向かおうとする。



「氷雨さん、とりあえず
 ケツ乗ってください」



言われるままにバイクに乗って、
エスカルゴで相棒に乗り換えたオレは
一気に神前までの道程を
風をきりながら駆け抜けた。



辿り着いた時には、
悠美さんは手遅れだった。



病院から連絡を受けた警察官の中に
姿を見つけた、親父の背中。




「……氷雨……」

「親父……、 何だよ……
 何で親父がくんだよ……」

「これが父さんの仕事だ……。

 それより氷雨。
 どうしてお前が?」

「亡くなった悠美は、
 女友達だ。

 そこにいる浩太の彼女」



オレにとっても
大切な仲間だった。




職質だか何だか知らないが、
親父に尋問されるように
根掘り葉掘り聞かされながら、
無性にイライラしていた。



その後も悠美は死因の原因を突き止めるべく
司法解剖が行われ、
葬儀が行われたのはイヴの3日前。




検出された薬物の影響か
荼毘に付された悠美の骨は、
形をとどめることなく粉に近い状態だった。



箸で二人一組で拾う事も出来ない骨は
かき集められるように、骨壺へと納められた。





その日、葬式の後
そのまま集まったエスカルゴ。゜




オレは幹部のソファに座りながら、
決着をつけることばかり考えていた。

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