彼女志願!2nd
「まぁ、気持ちわかるけど」
「え?」
「いい男風だもんね、俺」
「そうですけど、自分で言わないでください……」
思わず突っ込みを入れてしまった。
「冗談、冗談。わかるっていうのは、どんなことでも書かずにはいられない人種だってこと」
「先生……」
何かに心が揺れれば、ビビビとくれば、自分のことは当然として、家族のも、友達も、電車の中で聞いた何気ない会話まで、心に留める。
窓の外の虹にも、物語を探す。
金沢の金箔職人みたいに、一を百にまで叩いて伸ばす。
ちなみにアキだって、私と穂積さんをモデルについ先日出版したばかりだ。
(内容は教師と生徒のラブストーリーだったけど)
相瀬先生はメモを私の手の中に返してくれた。
「でも、そういうことしてると、嫌われることもあるでしょ?」
「わかっています。でも私は書くことをやめられません……」
「そうだね。因業な商売だよねえ、お互い」
そして先生は、私から離れ、紅茶をカップに注ぐ。
To be continued...
更新が遅れ気味ですみません。
マイペースですが読んでくださってありがとう。
ぼちぼちですが「彼女志願!」を楽しんでいただければ何よりも嬉しいです。
(文庫を手に取ってくださった皆様にも感謝です。)

