彼女志願!2nd
それから穂積さんの感じる違和感の正体がわからないまま、無事琥珀の王子シリーズの続刊が出たり、サイン会をしたり、別れる別れないと穂積さんとちょっとだけケンカしたり、一緒に住むことを決めたりして(くわしくは文庫版『彼女志願!』を見てね!)
いろいろあったけれど、私は変わらず小説を書き続け、季節は春を迎えていた――。
「――萌、おはよう……」
こめかみに落とされる優しいキスに、まぶたをこすりながら目を開けると、裸の穂積さんがかた肘をついて私を見下ろしていた。
眼鏡はまだかけてないけど……。
恥ずかしい。いつから寝顔見られてたんだろう。
「いつから?」
顔をそむけるようにシーツの上にうつぶせになると、
「夜が明けるころから」
と、穂積さんは優しく告げ、私の頬にかかる髪を指で払う。