彼女志願!2nd
「萌の進捗具合はどうですか?」
「はい、まったく進んでません!」
「そんな元気いっぱい言うことじゃないでしょう」
穂積さんはクスクス笑いながら、私の髪を指ですく。
だけどまったく進んでないのは本当で――
なんていうか、気分で書いていると言われたらどうしようもないのだけれど、いくらワードを眺めていても、一ページどころか一行も書けない状況が続いていたのは事実だった。
「では気分転換に今日、出かけますか?」
「それって、デート?」
「もちろん、デートです。久しぶりですね」
「は、はいっ!」
彼の言葉に胸が甘くときめいた。
二か月ほど前、一緒に住むことを決めて、部屋を探したりインテリア決めたりで出歩くことはあったけれど、目的もなく出かけるのは本当に久しぶりだった。