彼女志願!2nd
ああ、私って勝手だなぁ……。
書くことに夢中になっているときは、自分のことしか考えられないというのに
書けないから、不安で、穂積さんにそばにいてほしいと思っちゃうなんて……。
携帯を握りしめたまま、大好きな穂積さんの顔を思い出す。
話したいなぁ……
声を聞いたら、ちょこっと元気出るかも。
「仕事のふりして、電話しちゃおうかな……」
誰に聞かせるわけでもない、独り言をつぶやく。
作家と担当編集の間柄なら、電話くらいいつしてもいいってことにはなってる。
出られなければそれまでだし。
「よし、かけちゃおう」
自分を励ましつつ、体を起こすと、床に正座して通話ボタンを押した。
ツツツ……と音がしたあと、呼び出し音がならないまま留守電に切り替わる。