陽だまりに猫
ありふれた恋人




———————…


深く、深く、息を吐く。
目を瞑って、自分の心臓の音を聴く。


彼を思い出した時にする、
ちょっとした儀式みたいなもの。



もう気持ちが溢れ出さないように
記憶の奥底に鍵をかけて静かに沈める。


ゆっくり目を開けて、リビングへ繋がる
ドアへと一歩足を踏み出す。




最後にちらり、後ろを振り向いて…。
いない君の面影を残してドアを閉めた。




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