陽だまりに猫
静かにリビングのドアを開けて
「莉央、お待たせ。用意できたよ」
ソファーに座って雑誌を読んでいた
莉央に声をかける。
『んー、じゃあ行こっ…か…?』
雑誌を置いて振り向いた莉央が私を見て
動きを止めた。
『なんか、いつもと違う…?』
「そう…かな」
『うん、絶対違う。…唇?』
め、めざとい。
いつの間にか目の前に立って私を凝視
していた莉央はおもむろに私の頬を
スッと撫でた。
「っ…、」
『やっぱり。いつもより唇がピンクだ』
何が嬉しいのか、そう言って笑う彼に
諦めたようにため息を吐いた。
「ルージュ、塗ったの」
『へえ、珍しいね』
「たまたま、そんな気分だっただけ」
『ふーん。でも、』
『いいね、それ』
彼の嬉しそうな顔が見れるなら、
たまにはいいかな。なんて。