大嫌い。でも…ほんとは好き。(旧題:ラブ・ストリーミング) 番外編
「もう、何です」
適当にA4のコピー紙を置いて、そこに芽衣の手を乗せさせた。
「掌を広げてくれ」
「え?」
意味が分からないといった風に声をあげる芽衣を無視して、矢野はテーブルの上にあったホワイトボードのマジックのキャップを外し、芽衣の手の形をなぞりはじめる。
まるでトレーシングペーパーの写し絵のように。
「くそ、太すぎるな。松永、そのペン貸せ」
「は、はい」
何がなんだかわからない芽衣はただ従うばかり。胸元に差してあったシャープペンシルを手渡す。
矢野は、今度シャープペンシルで芽衣の指の輪郭をなぞった。手の甲から親指をなぞり、人差し指、中指、そして……薬指。
同時に指と指が触れたとき、芽衣はびくっと反応を示した。つられて矢野は芽衣を見つめる。
それがまるで欲情しているときの彼女の顔にも見え、少し笑みが零れた。
「今、感じたんだろ? 薬指は一番心臓に近い場所だからな」
「やだ、もう。何がしたいんですか」
「今回の企画にあげる絵コンテの分だよ」
「だったら先に説明してください。びっくりしますよ」
芽衣が不服そうに溜息をつく。遮るように矢野は続けた。
適当にA4のコピー紙を置いて、そこに芽衣の手を乗せさせた。
「掌を広げてくれ」
「え?」
意味が分からないといった風に声をあげる芽衣を無視して、矢野はテーブルの上にあったホワイトボードのマジックのキャップを外し、芽衣の手の形をなぞりはじめる。
まるでトレーシングペーパーの写し絵のように。
「くそ、太すぎるな。松永、そのペン貸せ」
「は、はい」
何がなんだかわからない芽衣はただ従うばかり。胸元に差してあったシャープペンシルを手渡す。
矢野は、今度シャープペンシルで芽衣の指の輪郭をなぞった。手の甲から親指をなぞり、人差し指、中指、そして……薬指。
同時に指と指が触れたとき、芽衣はびくっと反応を示した。つられて矢野は芽衣を見つめる。
それがまるで欲情しているときの彼女の顔にも見え、少し笑みが零れた。
「今、感じたんだろ? 薬指は一番心臓に近い場所だからな」
「やだ、もう。何がしたいんですか」
「今回の企画にあげる絵コンテの分だよ」
「だったら先に説明してください。びっくりしますよ」
芽衣が不服そうに溜息をつく。遮るように矢野は続けた。