ガラスの靴をもう一度


「いやぁ~。まあ、そんな感じです」

ご機嫌な川上くんは、照れ臭そうに鼻をかいた。

「羨ましいわ」

私にはわざとらしく聞こえる口調で、麻生さんは言った。

「それより、麻生さんは?まさか、社長とデートですか?」

川上くんの言葉にドキッとする。

そうよ。二人はどうして一緒にいるの?

黙ったまま、麻生さんの少し後ろに立っている雅貴を見つめた。

だけど、無表情で私たちを見ているだけ。

「ああ、私たちはただの食事。今夜はね、社長のおごりなの」

< 217 / 494 >

この作品をシェア

pagetop