ガラスの靴をもう一度
「いやぁ~。まあ、そんな感じです」
ご機嫌な川上くんは、照れ臭そうに鼻をかいた。
「羨ましいわ」
私にはわざとらしく聞こえる口調で、麻生さんは言った。
「それより、麻生さんは?まさか、社長とデートですか?」
川上くんの言葉にドキッとする。
そうよ。二人はどうして一緒にいるの?
黙ったまま、麻生さんの少し後ろに立っている雅貴を見つめた。
だけど、無表情で私たちを見ているだけ。
「ああ、私たちはただの食事。今夜はね、社長のおごりなの」