ガラスの靴をもう一度


会社のビルの駐車場は、立体駐車場になっている為、出庫をしないといけない。

川上くんは、雅貴に「お先にどうぞ」と言っていた。

「川上くんも車なの?」

「うん。今日は特別にね」

「そう…」

二人きりで車って、ちょっと緊張しちゃうな。

そう思った私に気付いたのか、川上くんは小さく笑った。

「そんなに警戒しないでよ。何もしないから」

「えっ!?いや、そんな事心配してないよ」

慌てて否定した私に、川上くんはさらに笑った。

「そんなに動揺したところを見ると、やっぱり思ってたんだ?」

「違うって!」

そんなやり取りをしている時、出庫を終えた雅貴が車に乗り込みながら、私たちに声をかけてきたのだった。

「二人はこれからデート?」

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