ガラスの靴をもう一度


助手席に乗り込もうとしている崇史さんはその間際、私に怖い顔を向けた。

きっと、私たちの事を聞いているんだと思う。

雅貴に別れを告げたその夜に、他の男性といる私を軽蔑している様に見えた。

「違います!そんなんじゃないです!」

雅貴もそう思った?

それが嫌で川上くんが答えるより先に、私は思い切り否定してしまっていた。

自分から別れると言っておいて、何て勝手なんだろう。

こんな嫌な自分もいたんだと、初めて知った。

ほらね、また“初めて”を経験しちゃってる。

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