ガラスの靴をもう一度


ちょっとした公園ほどの広さの芝生には、ここの学生なのか、2組のカップルが離れた場所で、寄り添って座っていた。

川上くんは、手前の低い石垣に座ると、私を隣に座る様に促したのだった。

「萌ちゃん、パーティーの夜、話したかった事って何?」

「えっ!?」

突然、話を振られどぎまぎしてしまう。

「えっと…、その…」

いざ、“川上くんとは付き合えない”って言おうと思うと、言葉って出てこないものだ。

だいたい、付き合って欲しいと言われたわけじゃないのに、断るって図式も変な気がしてきたし…。

だけど、さすがは川上くん、私の気持ちを察した様に、自ら言ってきたのだった。

「俺とは付き合えないって、そう言うつもりだったんだろ?」

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