ガラスの靴をもう一度


駐車場までの道のりで、川上くんは優しく手を握ったまま、言ったのだった。

「今日、ここへ誘ったのは、萌ちゃんに俺が過ごした場所を見て欲しかったから」

「ありがとう。川上くんの4年間が、ここにあるのよね」

雅貴はアメリカの大学を出てるから、それを見る事はこの先ないんだろうな。

6年間という月日、私たちの唯一の空白の時間を、私は共有する事が出来なかったんだ。

むしろ、それが私たちを離れ離れにするきっかけになってしまったなんて、皮肉過ぎる。

「一番、楽しかった時だったから。学生時代は。あの頃に、萌ちゃんと知り合いたかったな」

川上くんのその言葉は、確実に私の胸に届いた。

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