ガラスの靴をもう一度
「手荒に扱って、捨てたんじゃないの?雅貴と靴を返すとか返さないとかで、ケンカになったんでしょ?」
「だからって、こんなヒドイ事はしません」
「でも、雅貴がそう思ってるとしたら?」
「え?雅貴が…?」
どういう事…?
雅貴が疑っているの?
呆然とする私から、麻生さんは靴の袋を奪い取った。
「私が今日、花井さんを呼び出したのは、雅貴に頼まれたから」
「頼まれたって、何をですか?」
嫌な汗が流れそう。
「花井さんの気持ちは分かったから、もう連絡はしないで欲しいって。会うのもやめたいって。それを伝えてくれって言われたのよ」
そんな…。
「そんなはずないです!」
雅貴が本当にそう思うなら、直接言ってくるはずよ。
他人に頼むなんて有り得ない。