ガラスの靴をもう一度
「じゃあ麻生さん。何で、雅貴と別れたんですか?プロポーズまでされたのに」
すると、麻生さんはさらに険しい顔を向けた。
「あなたの存在が嫌だったの。雅貴はいつも、大事な“妹”の話をしてくれた。彼はあなたを忘れた事はなかったのよ」
「雅貴が?私を…?」
「そう。だけど、あなたたちは本当の兄妹じゃない。いつ雅貴が、あなたを恋愛対象として気が付くか。それを考えたら怖かったの」
「だけど、結婚しようって言われたんですよ?それに、私が最後に雅貴に会ったのは8歳でした」
だから雅貴も、私を恋愛対象として見れなかったって言っていたのに。
「だからよ!結婚をしてから、気が付かれちゃ嫌だった。微笑ましい仲のいい兄妹って、思えるはずがないでしょ?大人になったあなたを見て、雅貴の心が揺らぐと思ったから」