ガラスの靴をもう一度


そして麻生さんは、一呼吸置いて言ったのだった。

「それくらい、雅貴にとってのあなたは、かけがえのない存在だったのよ。だからこそ、あなたを許せないの。私も雅貴も。この靴を壊した事が」

「だから、それは違います!」

もう!何度、説明すれば分かってくれるのよ。

いい加減イライラする。

「でも、雅貴は信じてないわよ」

「それは、誤解です!私が説明します」

すると、麻生さんは間髪入れずに言ったのだった。

「彼は、もう会いたくないって言ってるの。社長室への出入りも禁じてる」

「嘘です…。そんな…」

そんな…。

「ねえ、“萌ちゃん”。いい加減、雅貴を解放してあげて?今は、あなたへの責任感と恋愛感情が、ごちゃまぜになってるのよ」

< 380 / 494 >

この作品をシェア

pagetop