ガラスの靴をもう一度
そして麻生さんは、一呼吸置いて言ったのだった。
「それくらい、雅貴にとってのあなたは、かけがえのない存在だったのよ。だからこそ、あなたを許せないの。私も雅貴も。この靴を壊した事が」
「だから、それは違います!」
もう!何度、説明すれば分かってくれるのよ。
いい加減イライラする。
「でも、雅貴は信じてないわよ」
「それは、誤解です!私が説明します」
すると、麻生さんは間髪入れずに言ったのだった。
「彼は、もう会いたくないって言ってるの。社長室への出入りも禁じてる」
「嘘です…。そんな…」
そんな…。
「ねえ、“萌ちゃん”。いい加減、雅貴を解放してあげて?今は、あなたへの責任感と恋愛感情が、ごちゃまぜになってるのよ」