ガラスの靴をもう一度
「解放だなんて…」
「気が付かない?自分が雅貴にとって重荷だって事に」
重荷?
私が?
「いつまでも、妹の様にまとわりつかれて、雅貴は迷惑だったのよ。挙げ句、同じ会社に入られて、彼は余計な心配事を背負わされたし」
「でも、私たちは恋人同士でした。まとわりつくだなんて、思うはずもないじゃないですか!」
「じゃあ、どうして私とホテルに行ったのかしら?あなたがパーティーの日、私たちを見たらしいけど、どうしてあの日、私を抱きしめてくれたのかしらねぇ?」
そんなはずないよ…。
雅貴が私を迷惑に思っているなんて。
だけど、麻生さんの質問に、どうやって返事をする?
言葉を失う私に、麻生さんは留めをさしてきたのだった。
「雅貴が選んだのは、20年近く一緒にいたあなたじゃない。6年間一緒にいた私だったの」