Kiss Kiss Kiss
話が合うから一緒にお酒でも飲んでくるわ

そう言って 江上さんと
真澄さんが 帰って行った。

「物騒だから戸締りしてよ。」そう言い残して

怖くなって慌てて鍵を閉めに行った。

安全な中庭のベンチに腰かける。

大人の会話の中に
朝陽さんの隠された素顔を見た・・・・・・。

小さいころ
父親に虐待されていたってそう聞いた。
家庭は複雑で

だから……

真澄さんの言葉と線がつながった。

一人だけ愛した人……

そんな朝陽さんに愛した人がいるのが
ショックだった。

「おかあさん
王子さまが 振り向いてくれなかったのは
そういうことだったみたいだよ。」

片想いで終わった母

病床で懐かしむように
王子さまのことを語った母は
男らしさが消えて

どこか少女のようで可愛かったことを
思い出した。

誰にでも優しい
優しくすることで欠落した心を隠してる


私は朝陽さんにとってどんな存在なんだろう
まさか


私にも終わりにしようって
そう言うんじゃないかと

そしたらここにもいられなくなる


そう考えると怖くなってきた。 
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