ぼくときみの幸福論



ぶすっ




紙を貫く鈍い音がして、体は硬直する。





目の前の障子に人差し指の円周ほどの穴があけられて、そこからギロリとこちらを見つめる一つのギラギラと光る瞳。



頭のてっぺんから足の指先まであっという間に体温が奪われた。




血の気が引くとはまさにこのこと。




全身がひんやりとして、さっきまでじんわりと滲んでいた冷や汗がどばっと湧き出た。





ガクガクと体は震えだし、歯はガタガタと情けない音を立てる。




その瞳はジロジロと泳ぎ、俺たちを発見したあと



ニタァッとほくそ笑む口元を障子に開けられた小さな穴いっぱいに映し出してから障子のに手をかけた。



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