ぼくときみの幸福論



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「あーたぁーらしーい朝がきたっ、きぼーおのあぁさぁ~~~」






薄暗く、カビ臭い和室の中。




部屋というよりも、物置と言ったほうが正しいであろう室内で俺と芽衣は今日も朝を迎えた。






今日もうたた寝程度の睡眠しかとっていない俺は、やつの声気味の悪い歌声で完全に目を覚ます。






本当にひどいだみ声だ。


鳥肌の上の鳥肌が立ちそうなくらい、聞いていて不快だ。




機嫌のいい不気味な歌声がミシミシと廊下の軋む音とともに遠くのほうから聞こえてくる。





瞬時に体は硬直して、俺は隣ですやすやと寝息を立てて眠る芽衣を抱き寄せた。





くる…!あいつが来る…!




どくん、どくん





血液が体をめぐる音が自身の内側から聞こえてくる。






いやな汗が全身からじんわりとゆっくり滲み出てきて、早くも手は汗でびしょびしょになった。






やめろ、来るな!頭の中ではそう叫ぶことが出来るのに、喉元まで出かかっているのに。






悔しいけど、声が出せない。




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