ぼくときみの幸福論
無駄な抵抗だとは分かっていたが、ぎゅっと芽衣を抱きしめる腕にも力を込めて離れにくくした。
そのせいで芽衣は目覚めてしまったようで、「んぅ」とかすかな声を漏らした。
ま、まずい…!芽衣が……!
ガラっ
カビ臭い室内に乱暴に障子を開ける音が轟いて、空気を揺らした。
地獄の幕開けの音だ。
開け放たれた障子の向こうにはニタニタと気味悪く笑う"あいつ"がいた。
あぁ、きてしまった。
「―――ごめん、芽衣……」
絶望感でいっぱいの俺からぽろりと、言葉がこぼれおちた。