ぼくときみの幸福論
そんな幸福も永遠には続かない。
芽衣は唇をそっと、でもどこか名残惜しそうに離した。
同時に目を開けると、桜色の頬を朱色に染めてはにかんだ芽衣が視界をいっぱいに満たしていて。
二度めの幸福が襲ってきて、思わず芽衣を布団ごと抱き寄せた。
「うにゃっ」
猫のような声を出して驚く芽衣。
愛しい気持ちが湧き上がってきて、さらに抱きしめる腕に力を込めようとしたところを瞬時に抑えた。
いけない。いけない。
そして俺は何事もなかったかのように芽衣を解放して、ベッドから立ち上がってキッチンへと向かう。
芽衣はそのあとを布団を頭まですっぽりとかぶって、俺のあとをちょこちょこと着いてくる。
彼女のこの行動はいつものことなのでほっておくことにして、頭の中では昨日の夕食を思い出す。