深紅の瞳
1.出会い
「あの……大丈夫……ですか?」

芽衣は雨の日の学校帰りに、いつもの店で、いつもの夜食を買ったあと、いつも通る道で、いつもと同じ場所にある自動販売機の横に目をやると、いつもとは違いボロボロで力なく座る男の人を見つた。


普段なら人と関わる事を極端に避ける芽衣なのだが、この日はなぜか持っていた傘を男に差出しながら問いかけていた。


問われた男はゆっくりと顔だけを芽衣に向け、視線を交わす。

――ドクンッ
その男はとても綺麗で整った顔立ちをしており、普段めったな事では動じない芽衣の心臓が大きく跳ねた。


「綺麗な人……って、え!?」

無意識に自分の口から出た言葉に驚いた芽衣は、あわてて自分の口元を両手で隠すも、時すでに遅し!
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