流れる星を見つけたら
「彼女は僕が嫌いで『さようなら』って言ったので、あきらめようと思いました」

「だって、貴方には彼女がいて」

「あれは捜査上のもの」

「おとり捜査ってダメじゃないの?」

「ギリギリの線でダメを越してはいない」

「それってズルい」

「事件を迷宮入りにはしたくない。悪い奴は捕まる。それが基本」

爽やか顔が怒ってる。

「事件も解決したので、あきらめきれずにまた来た」

彼の手が伸び
そっと私の手に重ねられた。

大きな温かい手。

「いつも会えばケンカみたいになってたから、まともに話をあまりしてない」

今度は顔を見よう
どんな顔で言ってたのか
忘れないように
しっかり見よう。

「あの夜。流れ星を見た夜、君を胸に入れた時、離したくないって思った」

眼鏡の奥の目が真剣で
私の心を切なくさせていた。

「もう一度チャンスが欲しい。嫌ならここではっきり断って欲しい。今度こそ二度と君の前には現れないと約束する」

声が出ないから
ひたすらうなずく。

「返事が欲しい」

そう言われ

私は

「私も……会いたかった」って言い半べそになり

彼はやっと
安心したように優しく微笑み

「ここの占いは当たるね」って言った。

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