流れる星を見つけたら

人が沢山になってきたので
私と彼は店を出る。

どこからか聞こえる
クリスマスの名曲。

「クリスマスだよね」
薄手のパーティドレスにコート一枚は寒かった。
くしゃみをすると
彼が肩を抱き身体を寄せる。

「風邪ひくよ」
さりげなく言い
そのまま歩く私達。

「ケーキはさっき食べたろ」

「クリスマスケーキじゃないもん」

「でもケーキはケーキ」

「はいはい」
会話するだけ無駄かもね。

「飲み直す?」

「クリスマスだから混んでるよ」

景気が良くなってきたのか
人通りも多く
ご機嫌なサラリーマンの団体さんが多し

「今、何時だろ」

「あと2時間でクリスマスが終わる時間」

私は何度【クリスマス】というワードを言えばいいのだろう。

山下たつろーさんを呼んで来ようか?
ケンタッキーのチキンを口に突っ込んでやろうか?

昨日のイブは仕事で会えなかったじゃん。
現実主義の彼には
クリスマスなんてどうでもいいのか。

むなしいな
クリスマスの話を飛ばして
お正月の話でもしましょうか。
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