モノクロ
ついさっきようやく後輩が作った資料のチェックが終わり、次はメールの確認をするためにメーラーを起動する。
ブックカバーのデザインの依頼は数ヶ所にしていて。
イラストレーターやデザイナーはaKiRaさんを始め5人ほど、そして素材メーカーは女子が好みそうな花柄の布を作っている“リボティーズ”、カラフルな花や幾何学模様などで彩られたチロリアンテープを作っている“チロサキ屋”などの素材ブランドまで、様々なところに声掛けをしていた。
運良くほとんどのところからOKの返事をもらい、具体的な作業に入ってもらっているけど、唯一依頼メールのやり取りが長引いていたリボティーズからのメールがきていて、私は慌ててそのメールを開いた。
今日こそはOKの返事をもらえますように……!
そう願いながらじっくりと文面を読んだ後、私はがっくりと肩を落としてしまう。
「あああ~、リボティーズはダメだったかぁ……。ここの製品、すごくかわいいから狙ってたんだけどなぁ……。人気のあるブランドだし、そんなに簡単にはうまくいかないかぁ……はぁ」
やり取りしている担当者は好感触だったし、期待していただけに断られたことがショックだ。
エンジェルランドのチケットもそうだけど、ここ最近、うまくいかないことが続いていて。
そういうことが重なると、どうしてもモチベーションも下がってしまう。
……いやいやいや、諦めるのはまだ早い。
今回はダメでも、次があればまた検討してもらえるようにきちんとメールしておこう。
うまくいかなければ、次に繋げることも大事なことだ。
検討してもらった感謝の気持ちも含めて文面を作成し、下書きフォルダに保存する。
明日の朝読み直してから送ろうと、メーラーを閉じた。
「よし、次は、と……」
デスクの横に置いていた製品パンフレットの原稿を広げ、画像や文章のチェックに入る。
明日以降のことを考えて、少しでもいいから進めておきたい。
製品パンフレットを作成するのは販促部の仕事で、そのチェックは企画の方にも回ってくる。
画像はもちろんのこと、製品名や素材、製品説明などの細かい部分を確認していくんだけど、量がそれなりにあることもあり、単純なようで意外と骨が折れる作業だ。
「ん~、この説明……、こっちの方がいいかな。うん」
付箋をつけ、コメントを記入する。
大変なこともあるけど、製品を魅力的に思ってもらうためのコメントを推敲するのは昔から大好きだ。
どんな文章だったらユーザーさんに欲しいと思ってもらえるか、どんな説明だったら製品のことを知ってもらえるか。
それらを考えるためには自社製品のことも細かく知っておく必要があるけれど、文具から雑貨まで扱うこの会社は創立してからの年数も長く製品数も多いから、日々学ぶことは多い。
それに加え、うちの商品だけの魅力を伝えるためには、他社製品との違いも把握しておかないといけなかったりもする。
私はまだまだ勉強不足だ。
そうして作業に夢中になっているうちに、あっという間に1時間が過ぎていた。