モノクロ
「ブックカバーのサイズは?」
「えっと、一般的な文庫本サイズで考えてます。ハードカバーは大きさの違いがあるし、難しいと思うから」
「うん。それはいい判断だな。文庫本サイズというなら、うちの製品との抱き合わせで売ることも視野に入れたらいいかもしれないな」
「え? うち、本なんて売ってましたっけ?」
「答えはカタログの中にあるから確認してみたら?」
ついこの間カタログのチェックをしたばかりで、どんな商品があったっけと思い浮かべる。
少し考えた時、はっと思い出した。
「あっ、もしかして、あれですか!? 文庫本サイズのノート!」
「ご名答。あれは売り上げもいいし、雑貨屋にも置いてるはずだ。シンプルな表紙から柄のあるものまであるから、ブックカバーがあれば一緒に買う人も増えるかもしれない」
「そっか……本とブックカバーがセットになってれば買いやすいですよね。もちろん、ブックカバーは好きなものを選べるようにして。ノートがいけるなら、スケジュール帳のカバーもいいかもしれません! スケジュール帳なら使う人も多いし。あ、でもスケジュール帳だとそれこそサイズの問題が出てきますね……」
「ストップ、ストップ。話が広がりすぎるから、今はスケジュール帳のことは置いておこう」
「あっ、すみません」
「まぁ、考えが浮かぶのはいいことだし、今後のためにもメモをしておくといい。あと、構想を練る時はパソコンに向かうより、ノートに手書きであれこれ書き出してまとめていく方がいろんなアイディアが取り込めるからオススメだ。
企画をたてる時は、実際に買っていく客の姿とか立場を頭に浮かべるのも大事なことだから、覚えておいて。浮かぶものがリアルであればあるほど、商品化に繋がりやすい」
「はい!」
なるほど。リアルに、か。
確かにこれを書いた時にはふわっとしたものしか頭になかった気がする。
思い付いたものを実際にぽんと取り出せるものではないしリアルに考えるのって難しいけど、考え始めたらぐんと楽しく感じる。
「そういうわけで、だ」
「へ?」
「佐々木さん、今週末の予定は?」
「特に何もありません」
「即答だな。じゃあ、視察に付き合って」
「はい?」
「女子がいた方がいい。決定な」
「それはいいんですけど、私でいいんですか? 何の役にも立てないと思いますけど」
「問題ない」
「そう、ですか。それなら、ぜひ。視察の勉強をさせていただきます!」
「あぁ。そうして」
「はい!」
一体何を見に行くんだろう?
女子がいた方がいいって……もしかして、キラキラしたかわいい雑貨屋さんとか?
それって、佐山さんがかわいい雑貨を企画するってこと?
……想像できない。