モノクロ
 

「時間過ぎてるから、早く入るぞ」

「あ、はいっ!」


……ん? 「時間過ぎてる」って言った?

まさか予約までしてたってこと……?

佐山さんが店の中に入り「予約している佐山です」と店員さんに言うと、店員さんは「はい、こちらです」とだけ言い、店内を案内し始める。

やっぱり予約してたんだ……。

でも、何で? 佐山さんって、そこまでしてまで後輩に奢らせるような性格だっけ?

私は不思議に思いながらも、佐山さんの後ろをついていった。



──店員さんがある個室のドアを開け放ち、お辞儀をして去っていく。

佐山さんが個室の中を覗き込んだ時だった。


「あっ、遅刻~っ! 何してたのぉ!?」

「悪い悪い」

「ごめんなちゃい、は?」

「あー、はいはい。ごめんなさい」

「よくできまちたっ! キャハハっ」

「……」


……えっと……誰かいるんですか?

佐山さんが入口に立ちはだかっていて、背の低い私には部屋の中がどういう状況なのかが全く見えない。

声を聞く限りでは、女の人と小さな女の子がいる、のかな?

 
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