モノクロ
状況が何もわからず呆然と立ち尽くしていた私の方に佐山さんが振り向き、おいで、と手を上下に動かす。
「ボーッとしてないで、入って」
「あっ、はい……」
部屋の中が想像できなくて、恐る恐るドアから部屋の中を覗き込んだ。
……って、えぇ!?
覗き込んだ瞬間、目に入ってきたのは、綺麗な女の人とぷにぷにほっぺがかわいい小さな女の子。
女の人の大きな目がきょとんとしてしまっている私を映し出す。
……っていうか、この二人って……。
「やだっ! 女の子と一緒なの!? 私というものがありながら、今まで浮気してたってこと!? 酷いっ!」
「!?」
「……はぁ。そんなわけないだろ」
「だって、そんなかわいい女の子連れちゃって! ねぇ、梢っ!」
「ぱぱ、うわき~! ひどい~っ」
「こら。変な言葉覚えたら駄目だ」
「うわき~、うわき~」
「こーら! こずっ!」
「きゃーっ! きゃはは~っ」
「……」
叱るような言葉を言いながらもめろめろな様子の佐山さんが、女の子の身体を持ち上げる。
女の子はきゃっきゃと楽しそうに身体を揺らしている。
全く状況の掴めない私は、ただポカンと口を開けてしまっていた。
ただわかることは、私はこの二人のことを見たことがあるということ。
それは、佐山さんの携帯の画面の中で……。