モノクロ
そんな事情なんて知るわけのない若菜さんはにこにこしていて、ものすごく楽しそうだ。
私は何も言えず、ただパクパクと口を動かすしかなかった。
そこに助け船を出してくれたのは佐山さんだった。
「はい。バカな話はもう終わりな。佐々木さんも座って」
「えっ?」
「そこ、座りなさい」
そう言って佐山さんが当然のように指差したのは、先輩の隣の席。
この状況なら確かに私が先輩の横に座るのが普通だと思う。
でも、座布団の位置が近いのがすごく気になるんですけど……!
って、私がドキドキしても、先輩はそうは思わないだろうけど……。
そう気付いた私は少し切なくなりつつ、でもやっぱり先輩の隣に座れることが嬉しくて、「失礼しまーす」と言っていそいそと座った。
もちろん先輩は「どうぞ。」と言う以外は特に何の反応もなく、普通にそこに座っているだけ。
結局、そんなものなのだ。
「とりあえず飯食おう。今日は歩き回ったし、腹減った」
「え~ツマンナイッ」
「ちゅまんないっ」
佐山さんの冷静な言葉に、若菜さんがぶぅと唇を尖らせると、梢ちゃんもそれを真似する。
ぶーぶーと二人で言い始め、佐山さんの服をぐいぐいと引っ張っているけど、当の佐山さんは「はいはい。つまらなくて結構」とあしらいながら、メニューを手に取る。