こっち向いて、早瀬先生。


「っ!?」

せ、先生っ!?




「………うーん…熱はない」

考え込むような仕草で
先生は言った。



「ちょっとゆうちゃん!あたしヤキモチ妬くよ?」


綾花は頬をむーっと膨らませて
不機嫌そうな表情だ。




「あははっ、ただ熱があるか
見ただけだろ?やましい気持ちなんて
ないから、安心しろって」



先生は優しい眼差しで綾花を見つめ、
指を綾花の髪の毛に絡ませて
そっと頭を撫でた。



その仕草に綾花は顔を真っ赤にして
うつむく。




もやもやとした灰色い
モヤがわたしの胸の中を覆う。


だめだ…見ていられない。



< 35 / 52 >

この作品をシェア

pagetop