魔王様の花嫁





その夜のこと、私はぐっすりと眠りにつき、真っ暗で静まり返った頃に彼は私の部屋に表れた。














「へぇー、割りと狭いなこの家。俺様の城の方が倍でかいな。」















「スゥー…スゥー…」
















「ふんっ、気持ちよさそうに無防備に寝やがって。」












「…ん~……っ…」













うなされているのか寝返りをしたところで俺様の理性が飛びかけた。それは桜が寝返りをした事で首元が露となり彼女の放つ血と霊力と魂の合わさった芳醇な香りが俺様の嗅覚を燻った。













香りは強ければ強いほど悪魔を魅了するもの。だからといってそこら辺にホイホイいる代物でもない。要は桜は特別に美味いご馳走であり、それだけの価値があるということ。













「…っ…、これだけ強い香りを放っているから雑魚どもはバカみたいに狂うわけだ。気を抜いたら俺様まで狂っちまいそうだ。さそがしこの女には極上の血肉と魂があるんだろうな。」













妖しく光る赤い瞳で無防備に眠っている桜を見つめるサタン。













「舐めるくらいならいっか…。」














ほんの味見程度のつもりで露となっている桜の首筋に唇を近づけ、舌を這わせようとしたその時――――












……ゴンッ!!






















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